核融合科学研究所

核融合科学研究所は、核融合プラズマの学理とその応用の研究を推進するため1989年に設立された大学共同利用機関です。核融合エネルギーを私たちが利用できる形で実現するために必要となるプラズマ物理をはじめ、ミクロな量子プロセスや材料科学、装置を構成する機器の技術まで、核融合科学に関する研究課題に総合的に取り組んでいます。
大学共同利用機関として、大型ヘリカル装置(LHD)やスーパーコンピュータなど、大型の研究施設をはじめ、様々な研究装置群を運用し、国内外の大学や研究機関との共同研究を進めることで、核融合科学の発展とともに、広く科学技術の基盤形成を推進しています。

核融合科学研究所

核融合科学研究所正面玄関

核融合科学研究所正面玄関

研究ユニット

核融合は宇宙における元素合成とエネルギー発生の基本的メカニズムであり、星の活動を支えるエネルギー源になっています。私たちの地球環境も太陽の核融合エネルギーによって維持されています。
人類は、これまで、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料をエネルギー源として、現在の高度な科学技術産業社会を作り上げてきました。しかし、化石燃料の消費は大量の二酸化炭素や窒素酸化物を生み出して地球環境に深刻な影響を与えており、その埋蔵量にも限りがあります。環境負荷の少ないエネルギー源を手に入れることは、世界共通の最重要課題の一つであり、核融合エネルギーはその解決策となる大きな可能性を秘めています。
核融合科学は極めて多くの難題を束にした総合的な研究分野であり、未だ多くの研究課題が残されています。そのため、様々な科学と技術を束ねる開発研究に加えて、新しい可能性を拓くイノベーションを生み出すための学術研究が必要です。核融合科学研究所は10の最先端研究テーマを掲げ、核融合科学の学際的な研究展開に取り組んでいます。

プラットフォーム

プラットフォームは、核融合科学の最先端を拓く共同研究の基盤となる様々な研究装置群です。核融合科学研究所は大学共同利用機関として、大型の研究施設をはじめ様々な研究装置群を共同利用に供し、国内外の大学や研究機関との共同研究を進めています。

大型ヘリカル装置(LHD)

1998年3月のファーストプラズマ以降、世界最大の超伝導プラズマ閉じ込め装置として実験研究を実施しています。超高温プラズマを安定に生成できるLHDにおいて、多様な高精細計測装置を用いてプラズマの内部構造を計ることによって、核融合に限らず宇宙・天体プラズマにも共通する様々な複雑現象の原理に迫る国際共同研究を実施しています。
LHDではオープンサイエンス化に取り組んでおり、LHDの実験データは、Webページにて公開しています。

LHDの研究成果:https://www-lhd.nifs.ac.jp/pub/Science.html

プラズマシミュレータ『雷神』

プラズマ核融合分野専用のスーパーコンピュータシステムを運用し、核融合科学のシミュレーション研究を推進するとともに、シミュレーション科学の発展に貢献しうる研究開発を支援しています。10.5ペタフロップスの演算性能を持ち、核融合をはじめとする様々なプラズマ複雑現象の大規模シミュレーションを実行することができます。

大学院・教育

核融合科学研究所では、総合研究大学院大学 先端学術院 核融合科学コースにおける大学院教育を通して、国際的にリーダーシップを発揮できる研究者および高度な専門知識をもって社会に貢献する人材の育成を行っています。核融合科学は多くの専門分野を包括した学際的な研究であるため、さまざまな分野からの学生を積極的に受け入れています。
全国の大学の大学院とも広く連携を進めており、東京大学大学院 新領域創成科学研究科、名古屋大学 大学院工学研究科、同大学 院理学研究科、九州大学大学院 総合理工学府等との連携大学院教育にも力を入れています。

核融合科学研究所における大学院教育:https://www.nifs.ac.jp/edu/

核融合科学研究所オープンキャンパス

2023年10月28(土)に、岐阜県土岐市の自然科学研究機構 核融合科学研究所において、オープンキャンパス2023「体感!体験!プラズマエネルギー」を開催します。
今年は現地開催!リアルな最先端の科学をお届けします!