共通基盤研究施設(ARL)は、KEKの大型加速器施設を利用して行われる研究プロジェクト並びに共同利用研究の運用・推進に必要な、放射線科学・安全、環境・化学安全、計算機・情報ネットワークシステム、超伝導・極低温技術、精密機械工学などの加速器科学における基盤技術の研究開発を行い、その応用と技術支援を行う研究機関です。ARLには、これを達成するため、放射線科学センター(RSC)、計算科学センター(CRC)、超伝導低温工学センター(CSC)、及び機械工学センター(MEC)の4つのセンターがあります。
ARLでは、様々な学際的研究や高度な技術支援が行われています。
◎ 素粒子実験、物性、医療などの広い分野で世界的に使用されている放射線シミュレーションコードであるEGS、Geant4及びPHITSの開発を、その中核拠点として国際共同研究により行っています。
◎ GRIDやクラウドの技術を利用して世界中の研究所の計算資源をネットワークを用いて一元化できる体系を整備しています。我が国初めてのホームページはARLの研究者により発信されましたが、これは情報ネットワークをその黎明期から構築、整備していたことから可能となりました。
◎ 次世代高エネルギー加速器に必要な超伝導磁石や超伝導加速空洞などの開発が行われています。ここで開発された超伝導電磁石は、J-PARCのニュートリノビームラインや欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロン衝突加速器(LHC)などに使われ、後者ではヒッグス粒子発見に大きく貢献しました。
ARLは、加速器研究施設とともに、総合研究大学院大学の基盤機関として高エネルギー加速器科学研究科・加速器科学専攻を担当し、最先端の大型研究施設を利用したトップクラスの大学院教育、若手研究者育成を行っています。