4種のビームで「加速器だから見える世界。」をみる
物質構造科学研究所
物質構造科学研究所とは
物質構造科学研究所(略称 物構研)は、茨城県つくば市と東海村にそれぞれ物質科学や生命科学の研究のための大型実験施設を持っています。放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子など複数の量子ビームを組み合わせて研究することのできる、世界的にも恵まれた研究所です。
物構研は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)に属する2つの大学共同利用機関の一つです。大きな加速器を使って物質・材料や生命の小さな世界で起きていることを研究しています。物構研が共同利用機関として貢献している分野は多岐に渡りますが、そのいくつかをご紹介します。
4種のビームでみる!
~放射光・低速陽電子・中性子・ミュオンの4種のビーム~
2021年9月4日~5日に開催された、KEKオンライン一般公開2021。物構研では、「加速器だから見える世界。」を4種のビームでみる!というタイトルで、ライブ中継を行いました。
物構研特設ページでは、ライブ中に寄せられた質問に回答した、QandAコーナーもあります。ぜひご覧ください。
ライブ動画では、“ 燃料電池材料の研究 ” と “「エレクトライド」という物質の研究 ”の2つを例に、複数の量子ビームを使って研究していることを紹介しています。
■ 燃料電池材料の研究
「ナフィオン」という高分子材料について、これまで中性子を用いた研究を行ってきました。軟X線(放射光)や低速陽電子を組み合わせた更なる研究を行う計画をご紹介します。
■ 「エレクトライド」という物質の研究
エレクトライドとは「陰イオンが電子だけの新材料」です。X線・ミュオンは、そのメカニズムを知るための顕微鏡なのです。
MLF BL16
PF BL-16
SPF-A3
PF BL-2
Muon S1
放射光
加速器から発生する幅広いエネルギー(波長)をもつ高輝度の光です。短波長の紫外線やX線を使うと物質を構成する原子の並びや電子の振る舞いを調べることができます。
YouTube | KEKチャンネル
低速陽電子
陽電子は電子の反粒子で、線形加速器の電子ビームから生成されます。陽電子は、電気的性質から物質表面近くに侵入する深さを自由に変えることができるため、最表面に対する感度が非常に高く、最表面やそのすぐ下の原子配置を精度よく決めることができます。
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中性子
陽子加速器によって作られる中性子線は、水素やリチウムなど軽元素の構造や動きを観察するのに適しています。また、同位体と呼ばれる特殊な原子を用いて見たい箇所を着色したり、高い透過力を利用して物質の内部の構造を調べることも可能です。
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ミュオン
ミュオンは、陽子加速器で作るπ中間子の崩壊によって作られます。生まれながらに磁石の性質を持つ原子サイズの方位磁針として、物質の局所磁場を調べられます。また、負ミュオンは原子に捕まると発生する元素に固有なX 線を利用して、元素分析も可能です。
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