核融合科学研究所は、カーボンフリーエネルギーの切り札である核融合の実現に向けて最先端研究を行っています。

核融合科学研究所


核融合科学研究所(NIFS)とは

核融合科学研究所(略称 NIFS)は、1989年(平成元年)5月に核融合プラズマの学理とその応用の研究の推進のため、全国の大学の共同利用機関として名古屋市に設立されました。1997年(平成9年)7月に岐阜県土岐市に移転し、2004年(平成16年)4月の大学共同利用機関法人「自然科学研究機構」の発足に伴い、核融合科学に関する総合研究を推進する大学共同利用機関として同機構の一研究所として再編されました。NIFSは2019年(令和元年)5月には創立30周年を迎えております。
NIFSは、大学共同利用機関として国内や海外の大学・研究機関と共に双方向の活発な研究協力を進めています。また、教育機関として、次世代の優れた人材を育成し、社会と連携しながら、核融合プラズマに関する基礎的研究・教育を強力に推進しています。1億度にも達する超高温・高密度の核融合プラズマとその制御は、物理学、電気工学、超伝導工学、材料工学、シミュレーション科学など理論と実験にまたがる現代理工学の幅広い分野の最先端を包括した学術研究対象です。NIFSは、全国・全世界の研究者コミュニティの知が結節する中核拠点となっています。



研究内容

NIFSでは、私たちが必要とする将来のエネルギー源をまかなうために、カーボンフリーエネルギーの切り札である核融合の実現に向けて最先端研究を行っています。人類は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料をエネルギー源として、現在の高度な科学技術産業社会を作りあげてきました。しかし、化石燃料の消費は大量の二酸化炭素や窒素化合物を生み出して地球環境に深刻な影響を与えつつあり、また、シェールガスなどの新しい資源が見つかっていますが、その埋蔵量にも限りがあります。環境負荷の少ないエネルギー源を手に入れることは、世界共通の最重要課題です。
NIFSは、研究の主力装置である超伝導コイルを用いた世界最大級の大型ヘリカル装置(LHD)により、超高温プラズマを生成し、それを安定に保持する研究や将来の核融合炉の実現に必要な炉心プラズマの物理、定常維持、炉工学に関する研究課題に取り組んでいます。また、スーパーコンピュータシステム「プラズマシミュレータ雷神」によるプラズマの複雑な現象の再現や物理法則の理解、更には装置規模でのプラズマ挙動を予測することを目指したシミュレーション研究を行っている他、将来のヘリカル方式の核融合炉を想定した概念設計と、その開発に必要な工学研究も行っています。あわせて大学等からの幅広いニーズに対応するため、「双方向型共同研究」、「LHD計画共同研究」、「一般共同研究」、「原型炉研究開発共同研究」という四つの形態の共同研究を設け、毎年研究課題の公募を行うことで、共同利用・共同研究活動を強力に展開しています。


大型ヘリカル装置(LHD)


プラズマを閉じ込めるLHDの真空容器内部


スーパーコンピュータシステム(プラズマシミュレータ雷神)


人材育成・大学院教育

NIFSは、日本の核融合に関する学術研究の要として、将来の核融合科学を担う若手人材育成を推進する重要な役割を担っています。大学院教育では、総合研究大学院大学の核融合科学専攻としての教育活動に加えて、全国の大学との連携教育にも力を入れています。また共同研究を通して、積極的に若手研究者を育てるという実績も積み重ねられています。


講義の様子