代表理事挨拶
2022年3月に4つの大学共同利用機関法人(人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構)と国立大学法人総合研究大学院大学の5法人が構成員となり、一般社団法人大学共同利用研究教育アライアンスが設置されました。
構成員である大学共同利用機関は、特定の大学に属さない独立の組織として個々の大学の枠を越えた共同研究を推進する、わが国独自の研究機関として誕生しました。それまで、特定分野の研究を行う研究所は、特定の大学に附置する形で設置されてきましたが、学術研究の発展に伴い、個々の大学の枠を超えて大規模な施設設備等を共同で利用したり、効果的な共同研究を進めたりする組織が求められるようになり、このような仕組みが導入されたのです。1971年に高エネルギー物理学研究所が設置されたのを始めとして、順次、それぞれの学術分野の要請に基づいて、各分野の研究を牽引する研究所や研究機関が設置されました。国立大学が法人化した2004年には、大学共同利用機関は上記の4つの法人に再編され、現在は4法人の下、人文学、自然科学に関する17の大学共同利用機関が設置され、共同利用・共同研究を推進しています。
このような大学共同利用機関を基盤機関として、次世代を担う博士研究者を育成する目的で設置されたのが、総合研究大学院大学です。設立は1988年で、これにより、最先端の研究を次の世代へ伝えるための、研究と教育の循環システムが完成しました。2023年4月には、それまでの6研究科20専攻から、1研究科1専攻・20コースよりなる先端学術院への再編が行われ、学問分野の垣根を超えた人材育成が一層容易になりました。
4つの大学共同利用機関法人と総合研究大学院大学は、このように組織の再編を経ながら、お互いに連携しあって発展してきましたが、近年は、学術の展開や社会の変化、社会の要請に迅速に対応することが求められるようになってきました。そこで、数年前から関係者が集まって議論を重ね、その結果得た結論の一つがアライアンスの設立です。目的は、各機関や各法人の特質、及びそれぞれが国内外の研究者コミュニティと築き上げてきた関係を活かしつつ、共通する部分は統合して効率化を図りながら、異分野連携研究や大学院教育のさらなる強化、国際化や産業連携の一層の促進、同時に大学の研究力強化へのさらなる貢献を図るというものです。
本アライアンスの活動を通じて5法人がさらに連携を深め、目的の達成に努めてまいります。関係の皆様には、今後ともお力添えを賜りますよう心からお願い申し上げます。
2023年7月
大学共同利用研究教育アライアンス
代表理事 木部暢子