代表理事挨拶

山内正則

大学共同利用の研究所は1971年に設けられた高エネルギー物理学研究所を皮切りに次々と設立され、現在では17の大学共同利用機関が、これらを束ねる4つの大学共同利用機関法人のもとに設置されています。このような仕組みが発足した当時の理念は、大学単位では持てない大がかりな研究施設を設置して大学の研究者の利用に供することで共に研究成果をあげようとするものです。共同利用のあり方は時代とともに多様化し、現在では大型施設の共同利用に限らない様々な形態がありますが、大学共同利用の理念が半世紀たった今でも色あせることなく存在意義を保ち続けていることは、このような仕組みが、学術研究にとって真に有用なものであり、研究成果を生み出すことに有効に機能するものであった証左と考えています。大学共同利用の半世紀の歴史の中ではいくつもの大きな変化がありましたが、特筆すべきなのは1988年の総合研究大学院大学の設立です。これは各大学共同利用研究所を教育・研究を担う基盤機関として位置づけ、本部を中心に全体として大学院として機能する大学院大学で、各基盤機関の持つ先端的研究力を人材育成にも有効に活用しようとするものです。学術研究と教育は表裏一体をなすものであることから、総研大の設立によって日本が誇る学術研究と大学の研究を支える大学共同利用の体制が完成したと言ってよいと思います。

このようにして発展してきた大学共同利用ですが、10年、20年のスケールでは学問のあり方が変わってくるのは当然ですし、学術研究に対する社会の要請も随分と変わってきています。当事者である我々が大学共同利用機関や機構法人のあり方を見直し続けることは常に必要なことです。このような観点から5年ほど前から関係者で議論を積み重ねてきて得た結論の一つが今般の「一般社団法人大学共同利用研究教育アライアンス」の設立です。名前が長いのでここでは単にアライアンスと呼びますが、これは各機構法人や研究機関の特質やそれぞれが国内外の研究コミュニティと築きあげてきた関係を活かしながら、共通部分の統合による効率化を図るとともに、異分野連携のさらなる強化、国際化や産業連携の一層の促進、教育機能の拡充などを進め、同時に大学の研究力や機能の強化に対する貢献の拡充も図ろうとするものです。

このアライアンスでは4つの大学共同利用機関法人と総研大の強力な連携のもと、このような目的の達成に向けて取り組んでまいります。関係の皆様のご理解とお力添えを賜りますよう心からお願い申し上げます。

2022年3月吉日
大学共同利用研究教育アライアンス
代表理事 山内正則